大阪千代田短期大学の«劇発表会»終わる
山﨑由紀子(幼児教育科)
本学のユニーク科目「表現活動の総合研究」では、前期は劇作りの基礎を講義と演習で行い、後期はクラスで一本の劇を作り上げ舞台発表を行います。人前で表現することの苦手な学生が保育者となって子どもの前に自信をもって立てるように、この劇作りを通して人との共応関係の中で表現力を豊かに身につけ、生き方を考える機会としています。
今年の課題は児童文学2本と絵本2本でした。長編をシナリオ化すること、絵本を40分劇にシナリオ化すること、どちらの難しさにも挑み、劇発表の最後まで書き換えながら、幼児教育科教員全体でバックアップしながら12月14日の発表会当日を迎えました。
劇発表会6年目となる今年の特徴は、各組のテーマを演じていく中で表現し、最後には大きななぞが解けて新たな問題を提起したり、人間も動物も平和や生命が守られることの大事さを深く追求したりするものとなりました。また、バックミュージックを生演奏で、もちろんテーマコーラスも学生の作詞作曲、照明・音響も今年は非常に臨場感あふれるものや最後にミュウジカル風な楽しい場面に仕上がりました。
劇の圧巻はなんといっても大勢の群集が劇の最大の持り上がり場面を構成するところです。『ふたりのイーダ』では爆撃と灯篭流しを対照的に構成し、大勢の中で一人一人として演じきったことです。『ウエン王子とトラ』では森に火をつけ大トラを追い出そうとした大群の兵士、『銀の炎の国』ではトナカイと青イヌとの戦いの場面、『はなのすきなうし』では闘牛場面などです。
大勢が舞台上に上がっても一人一人の上がった意味を表現しきらなければ、表現したとは言えず、ストーリーの盛り上がりに欠け、劇全体のテーマも伝わりません。時間をかけて話し合いと演技練習を繰り返し練り上げて、どのクラスも充実した盛り上がり場面となりました。一人一人の生きる舞台こそ観客に感動を伝える劇となると学んだ劇作りでした。
一回生と保護者,卒業生の感想をお読みくださって、教育における総合表現の重要性を汲み取ってくださることを期待しております。
劇のリハーサル風景




劇の終了後、衣裳のままでの記念撮影




観劇者の感想(一部抜粋)
高校生の感想
○私は初めてこの演劇を見せて頂きましたが、こんなにすごいものだとは思いませんでした。一人一人に台詞があり、自分の任された役に入り込み、自分が主役のように演じている。特にすごいと思ったのは、役の個性が出るように堂々と演じている姿でした。私も大阪千代田短大に入れたら先輩方のように、2年後あの舞台で演じることが出来ると思うと感激です。先輩方のように皆さんにすごいと思われるような演技をしたいと思いました。頑張ります。(和歌山S高校 Sさん)
○私は親しい先輩が出ている「ウエン王子とトラ」を見させて頂きました。劇を観させて頂いて、感動と驚きでいっぱいでした。声の大きさやしゃべり方、トラの作りや衣装もすごく上手に出来ていて本当に本当にびっくりしました。大道具なども細かいところまで丁寧に出来ていて、背景は手作りとは思えないぐらいすごく、圧倒されました。そんなに歳もかわらないのに、あんなにもすごい劇が出来るなんて感動しました。クラスの団結力がないと出来ないなと思いました。先輩方に大切なものを教わりました。私はこの春大阪千代田短大に入学します。先輩たちを見習い頑張りたいと思います。(大阪N高校 Yさん)
○劇の発表会を見て、表現や声の大きさ、演じきっていたところに驚きました。2年後に「僕もあの舞台で劇を演じている」と考えたら、出来るかな?ちゃんと演じ切れるかな?と今から不安になるくらいとても上手く演じていて感動しました。どうすればあんな風に、普通に自然に出来るのかな、と疑問に思うほど素晴らしかったです。4月に入学するのが今まで不安でいっぱいでしたが2年後の楽しみも目標も出来たな、と思えるようになりました。とてもいい劇発表会にご招待頂き本当にありがとうございました。(大阪C高校 Jさん)
○「表現活動の総合研究」の劇発表会を楽しみにしていたのですが、想像以上に素晴らしかったです。衣装や背景もすごくきれいで物語も分かりやすく、私も2年後、先輩たちのように大きい声を出してハキハキと演じることが出来るよう頑張りたいと思いました。特に、「2人のイーダ」のイーダの喋り方や女の子の喋り方など役によっていろんな工夫があって、見ていてすごく楽しめました。最後の歌もみんなの声が出そろっていて、感動しました。練習や台詞、衣装制作とすごく大変そうですが、クラスで一致団結してみんなで取り組めることがすごく良いな、と思いました。劇の内容で印象に残っているところは、広島に原爆が落ちたところです。ピカピアッて光るところや被害を受けた人たちの様子が再現されていて、原爆の怖さなどもわかり、もう戦争はしてはいけない、と思いました。(大阪C高校 Mさん)
○劇を観ながら「千代田短期大学へ入学してからの自分達の姿がそこにある」と感じました。大きな声と動作、そして音楽やダンスで場面をより深く理解できたと思います。先輩方の自信に溢れた表現やクラスで一致団結して協力し合っている姿を見て、本当に充実した学生生活を送っているんだな、と思いました。2年後、果たして私があの舞台であのように演じることが出来るだろうかと不安に感じましたが、友達やたくさんの人々とふれ合い、2年後には先輩方のように”光り輝ける”ようになりたいと思います。2人のイーダを見て、改めて戦争の悲惨さ、そして、その事を忘れずこれからも伝え続けなければならないと感じました。(大阪C高校 Eさん)
保護者、卒業生等の感想
●『銀のほのおの国』を観て
背景の絵がとても上手に描かれており、戦いのシーンはとても迫力がありました。 “強い者が弱い者をいじめる世界・・・”が、現代社会への見事な風刺になっていました。“死は新たな豊かな生へのバトンタッチ”というテーマに、次世代へと恥じないバトンを渡したいと思いました。私は、毎年この劇発表会を楽しみにしています。学生の方の表現力のすばらしさ、演出・構成のすばらしさはいつも目をみはるものがあります。来年も観に来ようと思っていますのでがんばってください。楽しみにしています。(卒業生Iさん)
ミュージカル風というのがとても目新しく感じ、楽しかったです。一人ひとりの演技に迫力があり、見入ってしまいました。短く忙しい中で、劇に音楽にこんなにも力を注げてすごいと思います。(卒業生Sさん)
●『ふたりのイーダ』を観て
涙が出ました。原爆をテーマにこれだけの脚本と演出ができたことがすごいなあ・・・と感動しました。原爆を題材に選んだことが、学生たちのこれからの人生に大きく影響していくことでしょう。これまでの努力に心から拍手をおくりたいです。また、これだけの劇を少人数で見るのがもったいない気がしました。地域の人々、子どもからお年寄り、もっと多くの家族の方に見てもらってほしいと思いました。(保護者Yさん)
必要以上に“ハイ”にならないで、しっとりと落ち着いた作品に仕上がっていました。数多い場面の転換をスムーズにやりとげ、劇の山場にもっていきました。灯篭が川面をゆっくり流れる様子は圧巻で、背景の赤松林の色彩も大変落ち着いた色彩で良かったです。また、洋館の室内の感じも良く出来ており、なるほどこの場面にこそ、椅子が主人公となる必然性を感じました。最後の美しいハーモニーの合唱もすばらしく、レベルの非常に高い劇でした。(Kさん)
●『はなのすきなうし』を観て
スペインの雰囲気をとても上手に表現していたと思います。フラメンコがかっこ良かったです。この話が戦争と平和につながっていると知り、絵本は本当に深いなと思いました。(卒業生Sさん)
最初のナレーションがよくわかり、話の背景について知る事ができました。スペインの内乱の前の話だったのですね。時代背景を劇にしっかり入れてあり感動しました。牛のお母さんの優しさがよくわかり、衣服を装飾する衣装係の方の工夫も良かったです。(Mさん)
●『ウエン王子とトラ』を観て
この話では「弱肉強食は自然の決めた事であり、生物である以上仕方のない事である」というメッセージが深くこめられている事を一番感じました。しかし、人間は必要以上に他の生命を殺したり、自然を壊しているという事、それがどういう事かという事も感じ、考える機会になりました。(卒業生Yさん
生き物の命を大切にする事を改めて教えてもらいました。自分の欲望のままに、生きている人間のおろかさを痛感しました。トラの表現を2人でしていましたが、本当にすばらしかったです。(卒業生Iさん)
«劇発表会»は昨年の12月14日(日曜日)に行われました。
【上演作品】
A組『銀のほのおの国』 神沢利子 福音館書店
B組『ふたりのイーダ』 松谷みよ子 講談社
C組『花の好きなうし』 マンロー・リーフ 岩波書店
D組『ウエン王子とトラ』 チエン・ジャンホン 徳間書店







