進学応援NEWS No.6 (2009年1月)
介護福祉コース1回生ゼミ~想像(創造)力・表現力を養う取り組み~
昨年12月、介護福祉コース1回生ゼミでは、高齢者介護などを扱った詩をもとにして物語を想像(創造)し、それを紙芝居や寸劇などで表現してみました。
介護の現場において介護福祉士は、お年寄りや障害のある人の身体的なお世話だけではなく、その人が何を考え、どのようなことを望んでいるのか…ということに思いをめぐらしながら、その人の生活全体を支えます。つまり、少ない情報の中から、相手が何を伝えようとしているのかを読み取り(感じ取り)、考え、その内容をできるだけわかりやすく相手に伝える力が求められるのです。
学生が、自らの想像(創造)力・表現力について考えるきっかけにもなった今回の取り組み。その様子をご紹介します。
(1)自分の考えを表明し、議論を重ねながら物語を構築

まず、複数の詩の中からグループ(3~4人)で題材を選定し、詩や行間に込められた様々な「思い」について議論しました。
議論の過程では、学生一人ひとりが、詩の内容をどのように考え、捉えたのか、その意図は何かということを他のメンバーに説明し、不明な点があれば質疑応答もします。メンバー個々の考えを尊重し、話し合いながら物語として構築していきました。
(2)表現方法を考え、準備

次に、構築した物語の中に込めた意図や「思い」を他者に伝えるために、どのような表現方法をとるべきかをグループ内で議論しました。その結果、紙人形劇、紙芝居、寸劇など多様な表現方法をそれぞれのグループが考えだしました。 表現方法が決まれば、準備作業に入ります。議論や作業をしていく中で、学生はメンバーの「特技」や「持ち味」を踏まえて、それぞれの役割を自分たちで決め、行動していきます。
(3)発表
題材決定から約2週間後…。いよいよ、グループで取り組んだ成果を他の学生の前で発表する時がきました。発表直前にメンバー間で綿密な打ち合わせと最終確認をしていきます。
授業の空き時間や放課後を使って入念に準備してきたはずが、実際に発表すると様々なハプニングに見舞われます。「しまった!!」という思いを各自が抱きながらも、何事もなかったかのように発表を進めていきます。
以下は、各グループの発表内容と学生のコメントです。
☆1グループ(紙人形劇)
題材:藤川幸之助「ねたきり」『満月の夜、母を施設に置いて』
中央法規出版、2008年
- セリフが多く、内容を理解することができた。自分が介護士になった時のことを考えさせられた。
- 自宅で介護をしたい、一緒に暮らしたいという気持ちは皆あると思う。生きることをやめようと思う時でないと一緒に暮らせないのは悲しい。
- 絵がうまかった。悲しさがとても伝わってきた。施設に入った者と入れた者の気持ちが伝わってきた。
☆2グループ(紙芝居)
題材:藤川幸之助「萩の花びら」『手をつないで 見上げた空は』
ポプラ社、2008年
- 絵や文章がとてもわかりやすかった。
- 認知症になると、いっぱい一緒にいても忘れてしまうのか…と思った。
- 絵がとても上手で、話し方や声もリアルで話が良く伝わった。
- 老人ホームの現実と母の思いが紙芝居でリアルに表現されていたと思う。
- 老人ホームの話やったから、ほんま悲しい気持ちになった。絵がかわいかった。
- 娘や家族、親の大切さを知った。認知症になってもすごく感情が残っていると思った。

☆3グループ(紙芝居)
題材:岡上多寿子「それなのに」『いっぱいごめん いっぱいありがと』
木耳社、2006年
- 悲しいストーリーだった。「それなのに」が本当にグッときた。
- 絵がわかりやすく、伝えたいことが伝わった。
- お母さんの優しいところと娘の優しいところに感動した。
- 元気でよかった。セリフの工夫もあってよかった。
- 優しい気持ちになった。
- 紙芝居がスムーズでよかった。介護疲れによって、母に強く当たってしまうところ、母との思い出を思い出して、支えようとする気持ちが良かった。
☆4グループ(紙芝居)
題材:藤川幸之助「忘れているんだと思う」『手をつないで 見上げた空は』
ポプラ社、2008年
- 認知症はいろんなことを忘れてしまうんだと改めて思った。
- 絵が芸術的ですごく良かった。話も良く伝わった。
- 紙芝居の中でも絵に特徴があってよいと思う。
- 親と子が1つだったことが伝わってきてよかった。想像するのが難しいのに書けているのがすごい。
- 内容が少し難しかった。
- 人を愛することの喜びがわかった。

☆5グループ(寸劇)
題材:藤川幸之助「パチンコ」『満月の夜、母を施設に置いて』
中央法規出版、2008年
- 悲しく感じた。でもよかった。
- リアルで面白かった。お母さんかわいそうだった。
- 2人で劇をやっていた。最初にあった説明が良かった。
- セリフがあって大きな声で聞きやすかった。パチンコの玉を拾っていた母を「みっともない」と止める楠本が良いと思う。
- 2人とも演技力がすごかった。悲しい気持ちになった。
- すごくリアルでよかった。認知症の人でもパチンコなどの趣味が大切だと思った。
☆6グループ(紙人形劇)
題材:岡上多寿子「一番悲しい」『いっぱいごめん いっぱいありがと』
木耳社、2006年
- すごく悲しい物語だった。もし私の母もそうなってしまったら…なんて思ったら、怖かった。
- 絵がかわいかった。ナレーター以外にもセリフがあったらもっとよかったかも。わかりやすかった。
- 次々と紙人形を出すのが大変そうだった。でも、すごくかわいく出来ていた。
- 絵(人形)こっていた。進行が難しそうだった。わかりやすく、リアルだった。
- 絵めっちゃ上手やった。とぎれとぎれに読んじゃうと、いい内容やのにわからなくなった。ナレーターの話と人形の動きがばらばらだった。
- 壁を乗り越えるのは、大変なことだと思う。紙芝居を見ていると形で現せない壁というものが、目の前に来るという悲しさが伝わってきた。
- 人生には壁があって、その雰囲気がとても伝わってきた。人形劇にして、それがとてもわかった。乗り越えることの大切だがわかった。
☆7グループ(寸劇)
題材:藤川幸之助「私でなくても」『手をつないで 見上げた空は』
ポプラ社、2008年
- 演技がリアルでよかった。話が良く伝わった。
- 表情が認知症の利用者ぽかった。
- 演技は良かった。すばらしい。
- 徘徊している雰囲気が出ていて良かったと思う。リアルだった。
- 二人とももう少し顔に表情がほしい。
- 劇にすることでわかりやすくなっていた。

(4)学生のふりかえりと感想

- 難しかった。いや、でもなんか色々考えた。年老いていく時の心情とか、その家族の想いとか。やっぱり優しい介護士になりたい。
- 難しかった。準備に時間がかかったけど、あんなにあっさり終わるとは…。なんか残念
- この少ない準備期間で、どのグループもなかなか凝っていた。
- 劇よりも紙芝居など、絵を使ったほうがわかりやすいと思った。
- 表現するのが難しかった。でも7グループはよく工夫していたのでわかりやすかった。
- みんな、とても工夫していたと思う。劇、紙芝居、紙人形、たくさんの方法で表現できることに驚いた。
- 詩の内容をイメージして、絵を書いたり、セリフをつけたり、難しかった。想像力が自分にどれだけないのか身にしみた。もうすこし道具を作ればよかったと思った。
- それぞれのグループの個性が出ていて良かったと思う。自分のグループでは、絵を書くのが大変だった。
- みんな、すごく頑張っていたと思う。細かいところまで作っているグループもあった。劇が思ったより多かった。
- 紙芝居や劇など、みんな色々な工夫をしていた。
- すごく短い期間で、よくリアルに作ってあったと思う。全部良い内容の詩だった。
- んー。良かったり、不足していたり。考えるのが難しかった。
- 楽しかった。
- 練習不足やな…と思った。恥を捨てなあかん。
- 詩を表現することは難しかった。

2009年1月 発行責任者 大阪千代田短期大学入試委員会
委員:青木淳英(総合コミュニケーション学科 介護福祉コース専任講師:社会保障、地域福祉担当)
委員長:山本敏貢(副学長・幼児教育科教授:社会福祉担当)

